体罰(暴力)について

TSKサービス Ohishi

2013年01月19日 18:42

大阪の体罰(暴力)による高校生自殺問題ではかなり混乱していますね。
亡くなった高校生のご冥福をお祈りします。

この件について僕は第3者なので批評は避けますが、僕の経験に基づく考え、価値観を少し・・。



僕は中学生時代野球部出身。
普通の公立中学校なのにメチャクチャ強豪校でした。
在籍部員なんて常時100名ぐらい。単なる普通の中学なのにちょっとあり得ない多さです、他の部活動の人数と比べても桁違い。
2学年先輩は全国大会出場、1学年先輩は東海大会出場、僕たちの学年も県大会準優勝までいきました。

普通の公立中学なのに、なんで毎年こんなに強いの?
もちろん越境入学してくる野球の上手な生徒もいました、でも一番の理由は顧問の指導法によるもの。
そう、超のつくスパルタ教育で軍隊のように規律の取れたチームだったからです。


顧問による鉄拳制裁なんて当たり前。毎日10人、20人、いやもっとたくさんの生徒が餌食になってました。
僕も一度に50発ぐらい殴られたこともあります。口の中なんてもうズタズタ。
もちろん理不尽に殴られることだってよくあることです。
例えば誰かがエラーすると顧問の近くにたまたまいる部員が殴られる・・、そんなかんじです。

でも何でそんなことがまかり通るの?
部員からの苦情は出ないの?保護者からの苦情は出ないの?

そんなの出るわけありません。顧問も生徒もその保護者も完全に勝利至上主義になっているから。
いい成績を残して野球の強い高校に引っ張られたい、甲子園に出たい、あわよくば野球で身を立てたい。そんな部員がごろごろいるのです。実際に高校生になってたくさんのチームメートが甲子園にいき、活躍しました。

中学生なんて、まだまだ幼いもの。
「体罰が普通」と心に植え付けるのはそんなに難しいものではないはず、一種のマインドコントロールですね。僕も違和感は覚えてもそれが間違った方法だとは全然思いませんでした、当時は。
大人だって尼崎の事件のように暴力による支配がまかり通ってしまうのですから。


言い過ぎかもしれませんが恐怖で支配し統率を取る・・、これがゲームの勝ち負けという意味では一定の結果を出していたのは事実です。
僕は当時の顧問にはっきり言って恨みも何もありません。今現在特別な感情を抱くこともありません。
その顧問は僕が中学2年生の時によその学校へ異動して、そこでもチームを強く育てあげ、やがてそういった実績がものをいい校長へ、今では議員さんになっちゃってます。
(※もちろん上げ足を取るつもりは全くありません。頑張って国民県民市民のために働いてもらいたいです。・・1年ほど前に同じところに属する議員さんと同席することがあって、「当時の顧問の先生は頑張ってますか?」って聞いたら「あいつはいくじなしだからダメだ」って言ってました。政治に派閥はつきものなのでホントかウソかは分かりませんが、あの時の勢いで是非とも政治にも取り組んでもらいたいですね!)


じゃあこのチームを通過してきたヒトはみんな立派な大人になってる?
残念ながらそうは思えません。


結局のところ精神的な支配により結果を出させることと、本人たちの自主性により結果を出すことでは後々大きな差が出てくるのだと思います。(※余談ですが僕は筑波大ラグビー部は素晴らしいと思います)
大多数の中学生や高校生にとって一番大事なことって何?
そんなの分かりきったことです。野球で勝ち続けることではありません。野球を通して健全な精神を育てる、人間性を磨く、そういうことだと思います。
その中で最終的に野球で飯が食えるようになる人はとても立派だと思うし、それ以外の道に進む人はその時の経験をいかせばいいんだと思います。


僕の場合野球は中学で辞めました。
中3の時の担任に進路の面接で言われました、「何だ?珍しいな。高校で野球やらないのか?やるやらないで行く高校が変わると思うよ・・」
僕は野球は大好きです、大学でも草野球チーム作ってたし、社会人になってからも草野球チームに所属していたこともあります。
でも、僕の中で「こんな辛い思いしてまで続ける必要ない」っていつも考えてたし、大好きな野球が嫌いになりそうだったから。
(3年間はやり通しましたけどね、最後の夏は僕のエラーで大事なゲームを落としました。今でもチームメートへの申しわけない気持ちが消えません・・)




人ひとり亡くなった事実はかなり重い。メチャメチャ重い。
もちろん他の生徒に責任はありません。でも大阪の事件はそうした学校サイド、生徒サイド、はたまた保護者サイド、その全ての思惑や価値観が背景にあることは事実です。体罰(暴力)は常態化し、全ての人たちが黙認していたのは間違いないはずです。
そこを一度リセットしないと根本的な解決にはならないのでしょうね、恐らく。



(今回は世論の逆を行っていますが、どうなるのでしょうか?)

関連記事